作文「中国自動車産業」雑誌 社長兼編集長 李苗苗 もちろん、中国経済がニューノーマルに入るにつれて、ローカル企業の競争力が向上し、外資企業向けの政策優遇が減り、グローバル会社からの投資は沈静化しつつある。実は、新型コロナの前からも中国市場では、外資が撤退するうわさもすでに立っていました。しかし、米中摩擦が一番激しい2019年においても、中国商務部の統計によると、中国は実際に外資の利用額が9415億人民元まで上り、同期比5.8%増となり、これまでの規模を記録しました。中国は依然に、世界第2位の外資注入国としての地位を固めています。 新型コロナが爆発して以来、中国から撤退するという声が再び浮上しています。特定の国の製品や部品などに高度に依存してしまうため、ものづくりの基地を日本に戻す、もしくは東南アジアに分散して弾みのある経済構造を構築する国もあります。日本政府も企業に対して移転の支援金を提供する政策を打ち出しています。しかし、国家安全を保障する考えがあるものの、これら政策の目的はサプライチェーンの寸断リスクを分散させることにあり、日系企業を中国から撤退させることを促進するものではないと認識すべきでしょう。 実際、日系の自動車メーカに限ってみると、「中国から撤退する」というのはあくまでも偽命題です。 一つは、日系自動車産業はすでに中国では膨大の生産体系と複雑なサプライチェーンを構築してきました。1998年、ホンダが広州汽車と合資してホンダ広州を設立することを以て、日本の自動車企業が中国へ進出する幕を開きました。その後、2003年日産と東風汽車、トヨタと第一汽車もそれぞれ合資企業を設立して、完成車メーカと周辺部品メーカを含む日系自動車業界が相次いで中国へ進出してきました。日系自動車トップのトヨタ社を例に、2019年まで、トヨタはすでに中国においては独資企業を9社、合資企業15社を設立し、完成車工場6箇所、エンジン工場4箇所を立ち上げ、さらに900社近くの合資販売店ネットワークも構築してきました。 日本自動車部品工業協会の調査によると、2019年まで中国に進出した日系自動車部品精算企業は合計539社であり、海外進出した企業数全体の25.8%をしめています。販売、研究開発、管理等企業は119社であり、同シェアの17.6%を占めています。これら企業は中国における売上は約400億USDであり、そのうち、輸出の割合がわずか12.3%にとどまっており、平均して企業ごとの売上が1.2億USDです。期末で黒字決算の企業が82.4%となり、グローバルの75.3%より上回っています。トヨタ、ホンダ、日産、マツダ、三菱の大手5社及び日系ティアワンメーカは中国における売上合計が約9000億人民元近くと見ています。 もう一つは、日系自動車の中国での売れ行きから見ても、中日両国間の政治関係が改善されるにつれて、日系自動車が中国での販売がゴールデンな成長期も迎えつつあります。 2019年、中国の乗用車市場は2年間連続に縮小が続き、同期比9.6%減となりました。アメリカ系自動車が25.7%減、韓国系が8.4%減、フランス系が54.5%減の背景の下、日系自動車は販売台数が同期比7.94%増となり、シェアを22.8%まで伸ばしてきました。このうち、トヨタ、ホンダ、日産の大手3社は日系自動車業界の最も大きいウィンナーとなり、トヨタ系が9%増、ホンダが8.5%増、日産も0.1%増を実現しました。高級車領域では、レクサスが25%増凄まじい成長を成し遂げました。 中国市場に対して、トヨタ社が更なる大きな期待を寄せています。トヨタの関係筋によると、中国にあるトヨタ系列企業の業績がアメリカを抜き、グローバルにおいて最大の市場となれるよう期待しています。2019年、トヨタは中国市場では、販売台数が162万台に上り、同期比9%増で、過去最高業績を更新した。2020年において、販売台数は8.6%増の176万台に目標設定をしています。 ホンダも同様に、昨年、中国ではよい業績を上げていました。2019年、中国市場での販売台数が155.4万台に上り、同期比12.22%増で過去最高です。特別に指摘できるのは、昨年、ホンダはグローバルでは販売台数が減少し、トータル517.1万台の同期比も3.5%減となり、売上高、営業利益、純利益の各経営指標も落ちる中、中国市場がホンダの幸運の地となりました。 グローバルにおける販売台数が減少及びカロス・ゴーン元会長事件の影響を受け、日産自動車の株価が過去10年の最安値まで下がっています。市場価値が日系自動車の中では第5位に下がり、スズキとスバルの後に次ぎます。しかし、中国市場においては、同期比増という業績を遂げ、日産グローバルでは唯一のハイライトとなっています。 専門家によると、2018年以来、中国自動車の消費市場では、2つの新しい事象があらわれています。一つは、消費のアップグレードです。高級車の販売増加幅が市場全体分より大きいことです。もう一つは、日系自動車の回復です。日系自動車全体が販売をリードしているほか、細分化されたセグメントにおいても、複数の日系車種が上の順位を占めています。業界全体が不安定の中、この二つの新しい事象は、ある程度、中国自動車市場の未来が映っているでしょう。(連載その4、続く)(作文「中国自動車産業」雑誌 社長兼編集長、中国機械工業管理協会副秘書長 李苗苗)