作文「中国自動車産業」雑誌 社長兼編集長 李苗苗 2019年、トヨタ自動車の豊田章男社長は中国で網紅(=ソーシャルネットワークにおける人気者のこと)になることを体験しました。深圳にてシェアリング自転車やキャッシュレス買い物をトライした後、トヨタ自動車のマスターテストドライバーとして清華大学を訪問し、自らドリフトショーも披露してくれました。現在、豊田章男氏は中国のウイボー(Weibo=中国版Twitter)ではすでに100万人も超えるファンを得られ、その影響力が自動車業界以外にも及んでいます。 それよりも先立ち、当時の東風日産乗用車の総経理を務めるアイルトン・コウセアウ(Airton Cousseau)氏はインタビューでは、東風日産の目標が合資ブランドのトップ3に入ることにあると語り、「3位以内であり、3位ではない」と強調しました。ストレートでアグレッシブな発言はインパクトを与え、従来の日系自動車企業の慎重かつ曖昧なスタイルを一変しました。 これまで、業界では日系自動車企業が比較的控えめだという印象を持たれていますが、企業トップがこのように感性な発言はある程度、日系企業が中国に対する戦略及び目標の調整にも捉えられます。それは、日中関係の改善に連れて、日系自動車企業が手足を放す条件が揃えつつあり、中国市場でもっとアグレッシブな戦略を取れることです。 もちろん、ビジネスを取り巻く環境が改善されたほか、日系自動車自身も内在的な変化を起こしているとも言えます。 その一つは、思い切った反省を経て、大幅に調整した中国における戦略を全面的に落とし込むことにあります。2012年以降、アイデンティティ危機に陥った日系自動車企業は中国における経営を全面的に見直し、「現場現物」パラダイムに類似する理念で中国化を進めてきました。「中国で誕生、中国の消費者向け」という目標を抱え、開発及び生産の完全現地化を実現しました。 もう一つは、製品戦略がさらに積極的になったことにあります。深圳にてシェアリング自転車やキャッシュレス買い物をトライした後、トヨタ自動車の豊田章男社長は明らかに中国の活気ある早いリズムに感動されたと思われます。当日午後、豊田章男社長は清華大学を訪問しました。しかし、今回はトヨタ自動車の社長、四代目の経営者としてではなく、トヨタ+レクサスのマスターテストドライバーの身分として、活躍な姿を見せてくれました。 ひと昔、トヨタ中国技術センターのグランドオープンの式典では、トヨタ自動車副社長の内山田氏より筆者には、中国が海外でハイブリッド車のキーパーツを現地生産できた最初の国だと語りました。ある程度、トヨタは最近の2年間、中国で遂げたよい業績もこれが奏功したためだといえます。同様に現地化の成果を享受したのがホンダです。FUNTEC技術を活用した排気ガス量少ないターボブースターエンジンから、中国向け特定車種の開発まで、技術のホンダが昔のプライドを取り戻しつつあります。日産はさらに先を争い、2025までEV車を含む10種以上の新車種を投入する計画を立て、新エネルギー車と智能走行技術上で新たなチャンスを求めようとしています。 中国の自動車市場は2年連続に縮小しましたが、年間2500万台が頭打ちだと疑うものはいません。中国国家情報センターの概算では、中国のリソース保有条件、人口密度を勘案して、中国は日本と欧州における千人当たりの自動車保有台数に達する能力があるとみられます。中国の自動車年間販売台数が3000~3500万台に達することが不可能ではありません。 自動車市場の競争は長距離のレースです。2012年の釣魚島事件の嵐であれ、2020年の新型コロナウィルスであれ、いずれも中国自動車市場が中長期的に成長するトレンドを変えるものではありません。こうした中、自動車の「新四化」(=電動化、コネクテッド、インテリジェント化、 シェアリング)という特徴がますます顕在化しており、智能化、オンライン化を融合した自動車エコシステムがより多くのチャンスを得られると思われます。 2020年5月、新型コロナの衝撃では、グローバル自動車市場は景気が不透明ある中、ドイツのVW社が中国市場に20億ユーロの新規投資を追加しました。ダイムラーグループ総裁のOla Kllenius氏が、2020年度、中国における販売目標を変えないと明らかにしました。トヨタ自動車の社長である豊田章男氏が言われた通り、自動車産業が百年に一度レベルの重大変革に直面しています。この変革の中、中国自動車市場が転換とレベルアップの契機を迎えています。トヨタも全社の力を集め、過去に比べて「10倍速」の早いスピードで中国事業を加速させていきます。 これがトヨタ、ホンダと日産のチャンスだけではなく、中国自動車市場に参入するすべての参加者に対しても想像の空間が開かれたとも言えるでしょう。(全文完)(作文「中国自動車産業」雑誌 社長兼編集長、中国機械工業管理協会副秘書長 李苗苗)