文=自動車サークル 管宏業
芒種という節気にあたり、トヨタ自動車は再び中国で新しい希望の種をまいた。トヨタ自動車は6月5日、中国第一汽車、東風汽車、広州汽車、北京汽車、北京億華通科技と協力して、「聯合燃料電池システム開発(北京)有限公司」を設立した。新会社は主な業務が商用車向けの燃料電池システムの研究開発であり、トヨタ自動車と北京億華通科技が主要株主で、それぞれの会社から共同出資する。
6月5日が世界環境の日でもあり、この日に会社が設立されたのは奥深い意義もある。トヨタ中国高級執行副総経理の董長征氏はこう語る。「多くの来賓の方々が水素のために一堂に会した。2016年に公表された「中国国家省エネ車及び新エネ車ロードマップ」に基づいて商用車を中心にFCEV市場が拡大しつつある。変化の激しい中国市場においてFCEVを普及、定着させるには過去にないオープンな体制で、業界全体の力を挙げ、FCEVの発展する土台作りに取り組むことが必要だと判断し、同じ理念をもつ6社共同で聯合研究開発会社の設立に至った。」
聯合研究開発機構がこの夏にスタートを切ったのは豊富な時代と政策の背景を持つ以外、業界が今後の発展トレンドも映りだされる。
一つは、水到りて、渠なると言える。電気自動車の発展目標が相当遅れているのに比べて、FCEVは中国における成長が順調で、そのスピードも予期より早い。2016年に公表された「中国国家省エネ車及び新エネ車ロードマップ」を踏まえた2020年中に累計一万台という目標はほぼ達成する。
もう一つは、多くの力を合わせれば成功しやすいこと。燃料電池は自動車を変えるものだけではなく、真新しい水素エネルギー社会を構築するものにもなると思われる。しかし、世界一流の自動車会社でも、その1社だけの力ではエコシステム構築の推進にはむずかしく、リソースを集め、パートナーと協力して攻める必要がある。
「独り立ちよりみんなで楽しむがよりよい」。董長征氏は語るように、水素燃料電池車が新しい時代の青写真を描いていて、共同な理念が協業を成功させる土台である。トヨタ自動車が燃料電池車領域の先駆者として、「協力パートナーと一緒に、中国の新エネルギー車事業に寄与することを期待する」という。
トヨタ本部でも、「聯合燃料電池システム開発(北京)有限公司」の設立が重要視されている。トヨタ自動車執行董事の寺師茂樹氏は「新しい会社はトヨタグローバルの水素エネルギーの布石には重大な戦略意義を持つ。世界には中国市場のような急速に成長する市場はほかになく、「中国でFCEVを普及させる」パートナーを見つけたのが楽しいことだ」という。
計画では、聯合燃料電池システム開発公司は北京市に拠点を設け、総投資額が50.19億円。出資比率はトヨタが65%、北京億華通科技が15%、中国第一汽車と東風汽車、広州汽車、北京汽車が5%ずつとなる。
情報によると、6社が協議して商品を企画し、中国で求められる性能を満たすFCスタックなどのコンポーネントやFCシステムの制御、車両の搭載まで一連の開発を行う。製品化までのリードタイムを大幅に短縮し、中国の商用車市場で燃料電池車(FCEV)の普及を加速させる
水素エネルギー技術の突破に軸足を置き、研究開発領域でのイノベーションと協力を強化し、業界をリードする6社が設立した聯合燃料電池システム開発公司は日中自動車がオープンな協業における優秀なフラットホームになると思われる。