自動車人/管宏業
新型コロナウィルスの影響で世界範囲に急遽緊張感が張る政治関係。複雑な政治および経済の環境に取り巻かれ、グローバル企業が中国への投資について、どんな態度を持つのか。独VW社が明確な答えを出した。
数日前、「自動車人」のインタビュー応じて、VW中国のCEOであるシュテファン・ベレンシュタイン博士は記者に、VWグループは中国におけるビジネスが回復しており、その市場シェアも引き続き拡大しているため、これらがVWの自信を強めていると語った。市場はまだ厳しい状況が続いているが、2020年度、VW中国は業界全体より優れている業績を成し遂げることができると確信しており、未来に対しても楽観的な見方を持っている。
VW中国のCEOであるシュテファン・ベレンシュタイン博士
2020年上半期、中国において、VWはいくつかの営業指標が過去最高を刷新した。売上高は市場平均より5%上回っただけでなく、市場シェアも1.2%増加して20%になり、近年最高の水準となった。年間400万台の販売台数を持つこの自動車大手がますます中国での優位性を拡大している。
不利な市場状況下でも、逆にシェアを伸ばした2020年の上半期だが、VW中国はまたイノベーションへの投資投下と周辺との協力を行い、中国での陣取りを再構築した。
今年5月29日付け、VWは、10億ユーロを投じて江淮汽車の株式の50%を取得すると同時に、江淮VWの持分を75%に増やし、合弁会社の経営権を取得すると発表した。なお、同社が非公開の発行株式と株式譲渡を通じて、約11億ユーロを投資し、電池製造会社国軒高科(002074.SH=Hefei Guoxuan High-tech Power Energy Co., Ltd)の株式を26.47%保有し、筆頭株主となった。
上記の約20億ユーロの投資は、VWが中国における新規投資であり、今年計画された中国での40億ユーロの投資枠とは被ってはいない。
VWはまた、電気化戦略を積極的に推進している。VWグループは今年から2024年まで、ハイブリッド、電気化、デジタル化領域に600億ユーロを投資し、そのうちの330億ユーロが電気化に投下する予定だ。同社は2029年まで、電気自動車を75車種、ハイブリッド60車種を発売する予定であり、それまでに電気自動車の販売台数を2600万台に達成させるとの見通しだ。
この雄大なプランにとっては、中国市場の役割は非常に重要だ。計画によると、VWグループは2025年に中国で約150万台の新エネルギー車を納入し、2028年までにVWは中国で1160万台の純電気自動車を生産するという。この数字は世界の純電気自動車目標の半分以上を占めるものだ。
VWのような数千万台もの実績をもつ超大手にとっては、戦略を決めてから動くことに間違いない。世界で最も重要な個別市場である中国は、VW全体にも影響を及ぼす。ドイツから8,000キロ離れたこの第二の故郷の景気度が、VWの成功または失敗を決定するのだ。
シュテファン・ベレンシュタイン氏自身も中国市場へかなりの自信を持つ。彼のの予測によると、2020年、中国の自動車市場全体は前年比10%~12%縮小するが、VWは年間の縮小幅が10%以内だという。 「私たちは自動車市場全体をリードし、約20%の市場シェアを維持します。」と同氏が語る。
繊細なポイントからもVWが中国に対する帰属意識をよりよく理解できる。米国政府の完全な封じ込めと英国が合意を解体するという国際的背景の下で、多国籍企業とファーウェイ間の協力は敏感で微妙になってくる。筆者がVWとHuawei間の協力に関する話題に触れた際、シュテファン・ベレンシュタイン氏は躊躇したことはなかった。
「私たちはHuaweiと密に商談を進めています。中国では、Huaweiは常に私たちの優先パートナーの1つです。」と語った。同氏は、政治分野では「デカップリング」という言葉をよく耳にし、技術分野にはいわゆる「デカップリング」もあると言った。VWのようなグローバル企業にとって、現在の状況はチャレンジをモラタしていると認めた。
また、「中国は私たちの第二の故郷です。中国市場の技術的要件に応えて、私たちは強力な中国企業と協力します。中国との協力によって世界市場に役立つソリューションをもたらします。政治環境がどのように変わっても、私たちは方向性を変えません。」と語った。