自動車人/ 黄耀鵬 過去2年間、国際投資と貿易の傾向は異常になっている。中国は開放を拡大し続けているが、米国は中国の投資を封じ込めようとしている。しかし、20年前、米国は依然として「自由貿易」を信じ、投資市場の開放を拡大するよう中国に絶えず要請し、当時、中国はどこまで開放するかを躊躇していた。 新型コロナウィルスの感染拡大を抑制するにあたり、中国が強力な行政動員能力とそ驚くべき全国的コンセンサスを示しているため、米国はオールラウンドおいて中国へのチャレンジ応対に取り込んでいる。これは、総選挙年度に、党派を超えた数少ない合意の1つだ。 影響度の低いツールがすでに使用されており、米国はその他政策を利用して中国を抑圧しようとしている。 これらを経験した外国人投資家は中国の投資環境をどのように見ているのか? 2019年の中国の外資流入額は、1,326億米ドルで、前年比5.8%増加し、外資流入国の第二位としての地位を維持した。 2020年1月~6月、外国資本の流入額は665億米ドルで前年比1.3%減となった。このうち、第2四半期は前年比で8.4%増加し、大幅に回復した。国連貿易開発機構の予測によると、今年、世界範囲で外国投資は2019年に比べて約40%減少するという。世界の投資総額が減少するが、中国は誘致した絶対投資が基本的に据え置き、相対的シェアは明らかに拡大されるとみられる。 言い換えれば、外資は依然として中国を理想的な投資先と見なしている。また、現在の状況では、投資家にとって中国がより安全な場所だ。主に金融投資として米国に流入する資本とは異なり、中国に流入した資本が産業と商業にはより多くの比率を占める。 少なくとも外資流入の分野では、米国の働きが無駄になったとみられる。 この状況の中、中国は2018年の確立されたタイムスケジュールに従ってネガティブリストを引き続き縮小し、自由貿易地域へのアクセスを拡大し、商用車製造業界における外国の持株比率の制限を解除するなどに取り込んでいる。米国のますます保守的な貿易政策をとり、このままでは競争力が低下していくのではと見られる。中国はそれと正反対だ。米中実力の変化により、より早期に「ターニングポイント」を迎えるではないかとの見方もある。 新エネルギー車の分野では、中国における投資のビッグニュースとしてはテスラのほかにない。テスラの着地タイミングは細心を払って選んだものだと思われる。テスラが中国への進出に連れて、多くの新エネルギーサプライヤーは中国での生産能力を拡大していく。彼らの投資はすべてテスラを対象とするのではなく(例として、蘇州におけるパナソニックの生産能力)、中国の急速に拡大する新エネルギー産業を対象としている。世界最大の法人向け需要を目の前にして、米国の封じ込みは奏功しがたいものだ。 自動車消費市場は中国にあるため、関連するすべての産業投資は米国制裁の影響を受けられないものだと思われる。 1つは、ヨーロッパと日本にも米国に依存しないチップテクノロジーがあり、もう1つは、自動車用チップに使われるのが最新技術ではなく、ほとんどが28 nmを超える技術だ。中国はすでにその製造技術を習得しているからだ。 ただし、中国の新エネルギー企業はすでに米国株市場で上場したり、または米国で上場する機会を模索したりしている。これは、彼らが株式を現金への変換が米国の資本市場に依存することを示唆しているかもしれない。 中国への投資を積極的に行っているドイツ、日本、韓国は、資本を引き出すつもりはなく、持株の自由化により投資を拡大し、中国市場の利益を自社の決算に盛り込む可能性もある。 自動車業界では、日系資本は比率が低下したことで失敗を経験していた。韓国やフランス系が弱く、アメリカ系が微妙な立場にある。唯一明らかに強い立場に立つのがドイツの資本だ。このため、ドイツ資本が早期に株式比率を変える可能性は高い。 BMWがすでに先を走っているが、ほか他社も追いつくことも明らかだ。 この点で、日本、韓国、ヨーロッパ及び米国はそれぞれの利益が一致していない。 現在、米中貿易紛争が起き、地域貿易が台頭し、そしてブラックスワンとグレーサイの発生により、世界的な貿易体系は無秩序になり、世界的な金融システムはこれに耐えられなくなりつつある。資本自身が利益を追い求めている限り、中国には心配することはないであろう。