自動車人/張恒 2020年7月23日付け、中国は商用車製造に対する外資の株式保有制限を解除した。市場はどう変わりのか? 2019年、中国の商用車販売台数のうち、117万台の中型および大型トラックがあり、全世界320万台販売台数の40%を占めた。商用車は成長周期に強く影響される業界だ。強い周期性があるものの、国別に状況が異なる。 前述した中国市場に次ぐ3つの市場では中型および大型トラックの販売台数はそれぞれ、米国が2018年に31万8,000台、ヨーロッパが2019年40万台、インドが2019年28万台だった。 米国では、大型トラック上位4社の市場シェアは100%に近い。4社はダイムラー、パーカー、ボルボ、ナビスターであり、2018年それぞれの市場シェアはそれぞれ35%、30%、17%、14%だった。 ヨーロッパでは上位市場はドイツ、フランス、イギリス3か国に分かれ、この3か国におけるトラックの販売台数がヨーロッパ全体の売上の55%を占める。ヨーロッパは国が多く、市場も分散型であるが、上位7社の市場シェアは合計93%に達する。このうち、ダイムラーが4分の1近くを占める第1位、ドイツMANが第2位だ。地域差は主に西ヨーロッパと東ヨーロッパに反映されている。東ヨーロッパでは、カマズとガスのロシア系2社が総生産量のほぼ半分を占める。 EUでは上位5社が、Daimler、MAN、Volvo、Scania、およびIvecoだ。 インド市場では上位4社が市場シェアの94%を占める。 Tata、Ashok Langred、VECVであり、すべてインドローカル企業だ。 中国のトラック市場では、一汽解放、東風汽車、中国国家重型トラック、陝西重型トラック、福田汽車が長い間トップ5を占め、80%以上のシェアを維持している。 中国、ヨーロッパ、アメリカ、インドの大型トラック市場では地域独占が著しく、ローカルメーカーに支配されているのが特徴だ。 業界筋は、国内商用車領域では、ローカルメーカーが市場シェアの95%以上を占めており、外国投資が占める割合は非常に低く、尚且つ主に軽乗用車と軽トラックに集中していおり、外国株式保有の自由化政策も、国内商用車の競争における影響もほとんどないとの見方がある。 地域など自然の壁はあるとはいえ、中国やアメリカの商用車上場企業と比べるとまだ格差がみられる。 2020年7月23日、中国株市場終値時点の時価総額ベースでは、一汽解放は680億人民元、中国国立重型トラックは262億人民元、淮柴動力Aは1,336億人民元だった。 同じ時期に、パーカーの時価総額は297.6億ドル、フォルクスワーゲンの商用車会社であるTraton SEの時価総額は91億ユーロ、エンジンメーカーのカミンズの時価総額は280.2億ドルだった。 米国自動車会社の時価総額はより高い。直接的な要因は、米国の自動車会社の粗利率と純利益率のより高いからだ。 格差は、中国の大型トラック一台当たりの価格が、海外メーカー製品の半値未満にあるとみられる。中国の大型トラック一台当たり価格は30万人民元/台に対して、欧米ブランドの大型トラックは60万人民元/台を超える。一台当たりの価格が会社の利益率に直接的な影響をもたらすわけだ。 ヨーロッパとアメリカのドライバーも高級で豪華なトラックを好む。中国のドライバーはより現実的であり、彼らにとって最も重要な目標が家族を養い、お金を稼ぐことだ。 淮柴動力の時価総額が比較的高い理由はエンジンの粗利率は20%以上もあるからだ。この粗利率は中国国家重型トラックが製造した完成車の約10%の粗利率より倍も超える。 エンジンに関しては、2020年1月~4月、排気量が12リットル以上の大型トラック用エンジンはシェアの18.2%を占める。米国の60%、欧州の65%というシェアに比べてギャップが大きい。 価格競争があるため、中国の商用車に外国企業が投資するのは簡単なことではない。しかし、外資企業が今後10〜20年の競争のために布石をしたり、燃料電池大型トラックを開発したりできる。水素エネルギーも商用車の分野でブルーオーシャンともなる見通しだ。