自動車人/呉毓 2人での結婚は比較的単純な私的な問題だが、2つの家族の通婚は人脈やリソースなどの統合に及ぶ。自動車業界も例外なく、コアテクノロジーの取捨選択と製品開発の位置付けに加えて、パートナーの選択はブランド発展に影響をもたらすのだ。 日産の公式声明によると、日産のインテリジェントパーソナルアシスタントテクノロジーはAmazon Alexaと連携できるという。前者は混合音声を認識し自然の言語を理解でき、後者はユーザーの音声コントロールに従って音楽再生、電話発信、オーディオブックを聴き、スマートホームデバイスを制御できる。Amazon Alexaは日産アリヤにサポートし、インテリジェントな相互接続するためのアプリケーションを実現していく。 日産が策定した「4カ年復興計画」では、日本、中国、北米市場にコア事業を集中し、2023年度までに毎年100万台以上の電気自動車を販売する目標を設定した。アリヤはその基盤を築くものだ。しかし、Amazon Alexaベースに車両のインテリジェント制御とシステムのコラボレーションを実現した電気自動車が中国市場で販売されることは想像しにくいことだ。 Alexaは、Amazonによって開発されたAI仮想アシスタントであり、音声対話を実現し、音楽やオーディオブックを再生し、ToDoアイテムを作成し、天気や交通状況などのリアルタイム情報を提供できる。さらに、Alexaはホームオートメーションにも活用できる。その機能のほとんどはAmazonのAWSクラウド上で動作するものだ。 現在のアリヤは日本市場やアメリカ市場ではパーフェクトカーと称賛されるが、中国市場では正反対だ。特に中国の若いユーザーが注目しているインテリジェント相互接続の分野では、Amazon Alexaを搭載したアリヤはほぼ白紙の状態だ。 中国市場では、多くのユーザーがAmazonのエコースピーカーを使用しているが、通常のWi-Fiスピーカーのみとして使用されている。音声制御が英語に限定されたほか、食べ物やタクシーの予約も利用できない。ストリーミング音楽の大手Spotify、Pandoraのサービスも中国では利用できない。一部のEchoユーザーはEchoを搭載したのが単純に英語会話の練習のためだと揶揄する。 6か月間の評価の後、Alexaと手を携えていたフォルクスワーゲンは、クラウドインフラストラクチャを支配するAmazon AWSクラウドを諦め、「Car Cloud」プロジェクトの基本的なサポートとしてMicrosoft Azureに決定した。マイクロソフトは自動車業界でも豊富な経験を持っているが、Amazon AWSはグローバルラインリソースとデータセンターにおいてより実力があり、間違いなく市場を制覇しており、グローバルクラウドサービスで最大の市場シェアを保持しているはずだ。フォルクスワーゲンがAmazon Alexaを諦めてマイクロソフトを選択した理由は、後者が潜在的な競争リスクがあるからだという見方がある。 車のコックピットは「未来の移動」の主戦場となっており、その鍵となるのが「クラウドアーキテクチャ」だ。それは車だけでなく、将来のスマートターミナルの入り口でもあり、ユーザーを自宅に導き、ユーザーのためにレストランを選ぶ「見えない手」ともなる。おそらく、Amazonは中国のユーザーの習慣と消費者文化への分析ができる、それを着地させる時間とリソースを持っているとは想像しにくい。 一つのテクノロジーを使用してグローバル市場で勝ち取る時代はもはや終焉を迎えている。中国にある多国籍自動車会社にとっては、現地ユーザーのニーズを洞察し、現地の技術研究開発を強化し、現地の産業チェーンの成長を促進することが、適切な市場攻略法であろう。