自動車人/張恒 中国国家統計局のデータによると、2020年上半期(1月~6月)には、中国全国では規模以上の企業(年商2000万人民元の企業を指す、以下同様)の総利益は12.8%減少した。 このうち、6月単月では、規模以上の工業企業は利益総額が前年比11.5%という伸び率まで回復した。 2桁成長を達成したのは、3つの理由が考えられる。1、産業需給の衰えない成長したこと。2、工業製品の価格下落がさらに縮小したこと。3、企業単体のコストが削減されたこと。四半期単体の前年比成長率は、第1四半期の-36.7%から第2四半期の4.8%へとプラスに転じた。 売上高では、1月~6月、工業企業の売上高は前年比-5.2%となり、減少幅が縮小した。このうち、6月の売上高成長率は前年比4.2%に跳ね返った。 統計局の統計によると、2020年第2四半期、自動車製造業界の利益は、前年比26%増加した。第1四半期、前年比80%減少した。上半期、自動車関連製造業の売上高は8%減少し、総利益は前期比20.7%減少した。 第2四半期、自動車業界の利益が急増する要因は2つが考えられる。1つは、2019年第2四半期、自動車排気ガス基準「国Ⅴ」モデルの在庫をなくすため、企業らが販促費用を大幅にかけたこと。2つ目は、2020年第1四半期がコロナの関係で消費が後ろに倒れ、買換え、追加購入など消費のアップグレードが第2四半期に流れ込んでしまったことだ。 乗聯会のデータによると、7月最初の3週間、乗用車の店頭小売は前年比11%減少し、卸売りは前年比8%増加した。中国自動車協会の最新のデータによると、7月上中旬、自動車大手の11社では卸売りの販売台数が前年比36.5%増加した。このうち、乗用車の卸売り販売量は前年比34%増加し、商用車の卸売り販売量は前年比62%増加した。 卸売り販売量は明らかに小売り販売量より多く、自動車業界ではまだチャネルが在庫補充の段階にあることが示唆される。昨年の同時期に、国Vと国VIのモデルチェンジが行われるにあたり、ローカルブランドが製品発表には後れを取り、2019年7月に販売チャネルにおける在庫補充もその関係でペースが遅かった。2020年後半、販売チャネルによる在庫補充がスムーズに進んでいるため、現在の卸売り販売量は前年比で増加していると思われる。 2つの組織のデータはどちらも、7月前半、中国の自動車販売は依然として拡大傾向にあることを示している。従来では7月が販売のオフシーズンと見なされるが、今年の7月が従来とは異なり、自動車会社は市場の見通しについて楽観的だとわかる。 一部のアナリストによると、業界の回復がさほど順調ではない可能性があるが、よい方向に向かっていることが変わらないという。日系ブランド、ドイツ系高級ブランド、リーディングするローカルブランドはより注目が集まると思われる。 今年、自動車業界では固定資産への投資が急激に縮小したが、企業は研究開発への投資を続けて増加している。自動車産業における競争の壁は、規模から技術競争へと徐々に移行しており、同時にプラットフォーム化やインテリジェンスなどのソフトパワー競争の段階に入りつつある。 新エネルギー車市場は引き続き低迷しており、回復速度が乗用車に比べてはるかに低い。 6月、新エネルギー乗用車の保険加入は77,400台であり、前年比59%も減少した。しかし、このうち、テスラは15,000台となり、19.4%を占めて一位だった。 競争力のある高品質の製品が市場の需要を後押ししていることがわかる。新エネルギー車の減少は主に、Aクラス車以下の市場では人気製品が不足しているためだ。 2020年上半期、自動車産業を含む中国の産業は「V」字型の回復を達成した。 6月には、全国規模以上の工業企業は利益が2桁の成長を達成。従来のオフシーズンでは、自動車販売は前年比で高い成長率を達成。これら情報を基に、自動車市場は今年の第3四半期または下半期にも好調が続くのであろう。