自動車人/特約執筆者 劉葳漪 数日前、「フォーチュン」は最新の「フォーチュン」世界トップ500企業リストを同時発表した。今年、リストにある中国企業数は133社、米国企業数(121社)を上回り、1位となった。 「中国の会社数が初めて米国を追い越した」という書き込みが、一瞬にして各種メディアに広がった。量の点には、中国が上回っているのは事実だが、質の点はどうだろうか。内質がベールに包まれ、感情的な自己満足だけが残されると、中国は先進国との真のギャップに気づくことがなく、長足な進歩を遂げることは難しいだろう。 トップ500企業の選定基準の調整が急務だ。「フォーチュン」世界トップ500リストは1955年に誕生した、リストの選定基準は主に売上収入、参加企業の公開データ、独立的会社運営、米ドルによる並べ替え、及び規定期間内の申告資料の5つになる。 「フォーチュン」世界トップ500企業リストは60年以上売上収入を主要基準としてきた。この基準によれば、企業順位が500圏外であれば、世界的に有名な企業でさえ、リストに含まれない。企業の年売上収入を軸にするため、多くの損失を出している企業も500圏内に含まれている。例えば、メキシコ石油会社ペメックスの場合、180.38億ドルの損失を出し、2018年損失は148億ドル、依然として世界トップ500リストに含まれていた。また、参加企業の公開データの基準により、多くの一流企業が背を向けている。企業規模を過度に強調し、企業の売上収益率と純資産収益率の2つ重要指標を無視したことが、「フォーチュン」世界トップ500企業リストのバイアスである。 中国上場企業の収益性が比較的低い。2020年世界トップ500企業リストでは、Saudi Aramcoは882億ドルの利益で、最高収益性企業1位になった、米国のBerkshire HathawayとAppleが2位と3位に上がった。最も収益性が高い50社のうち、米国企業が半分を占めた。この収益性ランキングには、中国の工商銀行、建設銀行、農業銀行、中国銀行、平安保険、アリババ、テンセント、招商銀行、チャイナモバイル、台湾交通銀行が含まれた。 率直に言って、中国企業の収益性は低い方だ。2019年、リストに含まれた中国企業124社の平均利益は36億ドル未満、米国企業(70億ドル)の半分程度であり、世界トップ500企業の平均利益41億ドルを下回る。これら3つの統計によると、リストにある中国企業の平均売上収益率が5.4%、米国企業の10.5%より低く、平均純資産収益率が9.8%、米国企業の17%より低い。銀行の収益率を計算から除くと、2019年中国非銀行企業114社の平均利益は約22億ドルに過ぎない。対照的に、米国非銀行企業113社の平均利益が63億ドルを達し、中国企業の約3倍になる。 損失が最も多い企業の統計では、中国化工集団会社、河南能源化工集団、大同炭鉱集団有限責任会社、冀中能源集団、中国建材集団、河鋼集団、山西陽泉鉱業(集団)有限責任会社、銅陵有色金属集団がリストに含まれた。 コンプライアンスは中国企業が直面する主要リスクだ。世界トップ500企業にある中国銀行海外機関は、マネーロンダリングの憂慮などで摘発されたのは異例のことだ。世界銀行のブラックリストに載っている企業もある。通常、世界銀行のブラックリストは、一国の企業コンプライアンス水準を一側面から反映する。統計によると、世界銀行のルール違反で制裁リストに乗った中国企業は900社以上ある、2019年11月基点で、世界銀行の制裁を受け、会社や個人ブラックリストに15社の中国企業が追加された。 グローバル市場のジャングル法則時代が終わり、「契約精神」こそ、野蛮な市場を征服し、勝利にいたるためのキーポイントになる。多くの中国企業はこの状況へは無関心で、「野蛮的成長」を続けている。近年、世界銀行のブラックリストに追加される中国企業の数が増加の一途、コンプライアンスリスクは中国企業が抱える核心的リスクだと言える。