TOYOTA自動車はこのほど、バッテリーEV自動車戦略発表会を行った。TOYOTA自動車の豊田章男社長は、「2030年までにEV自動車の開発に4万億円を投資し、世界で350万台のEV自動車を販売することを目標としている。その中で、Lexusは2030年に中国、米国、ヨーロッパで100%EV化され、2035年には世界に100%EV化される」と発表した。
販売台数では、フォルクスワーゲンと交代で一位になるTOYOTAが、ライバルとは大きく異なるEV戦略のリズムをコントロールしている。2019年の初めに、フォルクスワーゲンは完全にEV化向けの行動を取ったが一方、TOYOTAは2018年の終わりに「徹底EV化」を達成すると発表した。
フォルクスワーゲンの「EV化」は純粋なEVパスであり、TOYOTAの「EV化」は単一のEV化ではなく、EV、HEV、PHEV、FCVをカバーする新しいエネルギーソリューションになっている。2018年以来、TOYOTAはすべての新エネルギー経路の存在を維持し、HEVとFCVの優位性を放棄しないという方針を確立した。
実際には、TOYOTAは最初からずっと商業会社であり、利益や損失を考えずに未成熟な技術を使った製品を大量生産することは決してやらない。会社の遺伝子はしっかりしていることは市場の現実から証明してきた。
かつてドイツ製自動車は中国での合弁事業の絶対優位を占めていた。TOYOTAをはじめとする日系自動車が中国市場に参入したのは、決定が遅く、進歩のペースも遅かったようだったが、現在ではドイツ車と日本車がほぼ競争していて、中国の合弁市場シェアの半々を占めている。
現在、TOYOTAは、バッテリーのサプライチェーンが成熟になって、市場がEV自動車を受け入れる準備が整ったと考えている。TOYOTAは、研究開発と設備投資にそれぞれ毎年1万億円ずつを投入し、投資を強化することを決定している。これにより、2030年までに資金の半分をEV自動車開発に投入することになり、今年初めの計画より30%増となる。
「この資金をすべて使い切るというわけではないが、その用意があることを示している。」TOYOTA自動車の前田正彦CTOは、発表会でこう発言した。
しかも、TOYOTAの変革は、「トップのみ発展」という戦略を採用することではなく、サプライヤーとともに変革することにする。これらのサプライヤーは、長期な協力、さらには株式持ち合いにおいても、TOYOTAと強固な関係を築いている。
発表会で、TOYOTAは、セダン、SUV、MPV、スポーツカー、PICK UP、K-Carモデルをカバーし、TOYOTAの乗用車製品ラインすべてをカバーする15の電動モデルを一気に発売した。2030年までに、TOYOTAはさらに、30台のEV自動車を発売する予定。
現在、7モデルのbZ EVモデルが計画されて、2022年から5モデルが中国市場に投入される予定。2025年までに、TOYOTA(LEXUSを含む)は10台のEVモデルになる予定。
同時に、TOYOTAは常にバッテリーの研究開発に多額の投資をすることを主張してきた。2018年以降、TOYOTAの固体バッテリーへの投資は急速に拡大し、次世代バッテリー技術のハイポイントを獲得しようとしている。これはフォルクスワーゲンのアプローチと一致しているが、TOYOTAの投資はより急進になっている。固体バッテリーについては、知の財産権を保有し、パナソニックと技術を共有する計画であり、両社はこの目的のために合弁会社を設立した。
TOYOTAは、固体バッテリーは近いうち、ビジネス化することが非常に難しいことが分かったため、中国のバッテリーサプライヤーへの依存度を高める方向に舵を切り始めた。2019年、TOYOTAはバッテリーサプライヤーとしてCATLとBYDを発表した。同時に、TOYOTAはパナソニックとの技術提携を断念したわけでもなかった。
実は、「TOYOTA2030電気戦略」は、EV戦略の位置づけを強化するための計画。技術継承の面では、HEVに使われている「三電」技術も捨てたものではなかった。バッテリーのパッケージング技術、モーターの軽量化技術など、すべて明確に受け継がれている。TOYOTAがEVの普及を加速させる技術なバックボーンとして、現在もEV技術の最前線にいる。
EV自動車用の充電・インバータの技術ソリューションは、すべてシリコン系半導体をベースにしている。 SiC(シリコンカーバイド)は、シリコンに代わるパワーデバイスを目指す第3世代の半導体とされ、エネルギー変換効率が高く、冷却設計が容易なことが特徴。TOYOTAは2013年からSiCの技術開発を進めており、大手自動車メーカーに先行している。
TOYOTAの戦略チャンスに対する慎重な姿勢は、一時は理解されなかったが、「寧静致遠」(心を落ち着かせ、学ぶことに没頭し、冷静に世間の変化を見定めることで遠く、広く見えるようになれるということ)の資質が、常にこの会社を長期に市場で戦うための良いポジションに置いている。(自動車人/孟華)
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