先日、報道によると、RCEPが正式に始動し、中日が初めて二国間自由貿易関係を構築した。
RCEP交渉が始まる前から、中国は日本で2番目に大きな海外市場になっていた。日本の自動車メーカーはみな、中国市場に進出し(あるいは進出したことがある)、ほぼ例外なく生産の現地化と常駐の拡大を目指してきた。
これまでのところ、中国での合弁事業は、TOYOTA、NISSAN、HONDAは大成功、MAZDA、MITSUBISHIは一部成功、SUZUKI、ISUZU、DAIHATSUは成功とは言い難い。自動車の大規模な現地生産に伴い、サプライチェーンもほぼすべて中国で展開されている。もちろん、コアテクノロジーとされ、現地生産にこだわる部品もある。この部分は今となっては割と少ない。
RCEPが発効した後、完成車や部品の輸入がいきなり無税になったわけではない。課税表を見ると、2023年1月1日までに中国が日本に対して非課税にする品目は669品目、日本が中国に対して非課税にする品目は6,890品目となっている。
日本と締結した他の自由貿易協定と同様に、日本は農牧製品を戦略安全範囲と見なし、670の関税コードがあり、関税削減には参加しない。中国向けに販売した日本製自動車部品の87%が減税対象となったが、中には10年、16年経ってから減税される部品もあった。
完成車に関しては、中国が日本からの輸入のほとんどは協定の対象外であり、中国は協定初年度から日本原産の排気量2.5リットル以上の高級車の関税を15%に引き下げ、今後20年間は15%を超えないことを約束するにとどまった。この条項は、新エネルギー車の普及に伴い、20年後には意味をなさなくなると予想されている。
日本の研究機関によると、RCEPの最大の受益者は日本である。直接てきな経済効果以上に重要なのは、RCEPに参加することで、日本は「東アジア-東南アジア-南太平洋」という広大な「地域経済統合」の中での地位を確保することである。
トヨタは、タイ、マレーシア、インドネシアの自動車市場において、確固たるリーディングポジションを確立している。実際、日本の自動車メーカーはASEANの主要国数カ国で大きな存在感を示している。
例えば、2020年のASEAN最大の国であるインドネシアでは、売上高トップ10に日本企業以外のブランドの製品は入っていなかった。また、タイでは東南アジア諸国最大の完成車輸出生産拠点を確立した。数十年の努力の末、日本企業は東南アジアに完全なサプライチェーンを持ち、これらのサプライヤーは中国本土の全車両のごく一部も供給している。
そのため、中国企業が東南アジア市場に参入するのは特に難しい。吉利は買収から始まり、すでにマレーシアに橋頭堡を築いている。 感染症の期間中、東南アジア諸国(タイを除く)の自動車販売はほとんど後退しており、この時期の進出は不適切であった。だが、中国企業は新エネルギー分野(EV、PHEV)で産業化の優位性を持っている。中国本土から「三電」製品を供給し、東南アジアに輸送して生産することで、現地でのサプライチェーンが不完全というデメリットを回避することができる。
RCEPは中国企業が低コストで東南アジアの生産チェーンに進出するチャンスとなった。日本企業もこのレイアウトの一部が欠けており、中国の合弁会社を通じてサプライヤー関係を築き、同じ部品を東南アジアの完成車工場に輸送できる。これは、中国大陸を生産拠点としたサプライチェーンにおける中日間の供給協力に相当する。同時に、日本企業が望めば、中国企業も自国に戻ってサプライヤーを探すことなく、東南アジアの日系サプライヤーから部品を調達できる。
自動車の生産コストが高いオーストラリアやニュージーランドにとって、中国、日本、韓国は協力の余地があり、身近に共有のサプライチェーンを構築できる。オーストラリアにおける現地生産の自動車は、労働力と市場スペースが不足しているため、すでに構造てきに低迷している。RCEPでは、近隣のインドネシアやマレーシアにサプライチェーンを展開することで、オーストラリアでの生産コストの問題を回避し、安価な輸送・通関コストを利用できる。
多国間の枠組みは、共有のサプライチェーンの構築を容易にするだけでなく、それぞれが得意とするノードについて協力することも可能にする。さらに重要なことは、相互の商業てきな信頼の長期てきなメカニズムを確立することによって、不健全な競争を行わないという暗黙の了解があること。これはおそらく中日が初めて自由貿易関係を築く「新たな足がかり」となるだろう。ただ、追加の収益が実現できるかどうかは、「ゼロサム思想」を排除する双方の高度な知恵に依存している。そうでなければ、二国間の自由貿易メカニズムを達成しても、何の役にも立たない。(自動車人/孟華)
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